①の意味の「ただ~という理由で~」について、
以下の2つの文型がよく一緒に使われるが、意味に違いがある。
・~とは限らない…他の可能性もある
・~わけではない…否定「~ではない」
例文を使って上記2つの文型を比較すると、それぞれの文で言いたいことには下記のようになる。
・日本人だからといって、ワサビが好きだとは限らない。
→「日本人でも、ワサビが(好きな人もいるし)苦手な人もいます」
・日本人だからといって、ワサビが好きなわけではない。
→「『日本人だからワサビが好き』ではありません」

ちなみに、私はワサビが苦手です。選べるなら食べません(笑)。そのため、レッスンで「日本人だからといって、ワサビが好きだとは限りませんよ~」と言ったこともあります。ほとんどの学生は、日本人なら絶対にワサビが好きだと思っているので、「はぁ~?!信じられない!」というような騒がしい状況になることが多いです(笑)。香港の人達はどうかと言うと、お寿司にはワサビが絶対必要!とか、醤油にがっつりワサビを入れてお寿司やお刺身を食べる人が多い印象です。だからこそ、ワサビが苦手な私に対し、「あり得ない!」というようなリアクションになるのでしょう(笑)。
②の意味の「~という理由で~(批判的意見)」について、
「~からといって」の後には批判的・否定的な意見や表現が使われる。
A からといって、 B 。
A…理由
B…Aが理由でする行為、または、しない行為を批判的・否定的に言う表現
“~する/しないのはよくない”と、自分に対して使うこともあるし、他者に対してその人を批判するように使うこともある。
「~からといって」は比較的丁寧な言い方。文章でも会話でも使われる。
「~からって」は口語。会話や親しい人とのメッセージ・メールなどで使われる。
「~からとて」は文語。小説などで使われる。
例文:
①ただ~という理由で~
・「お金持ちだからといって、幸せだとは限らない」という言葉は、いろいろなところで見たり聞いたりしたことがある。
・こんなに大きな事件を起こして、子どもだからといって許されるわけではない。
・好きな歌手が同じだからといって、友達になれるとは限らない。
・仕事が暇だからといって、何をしてもいいわけではないだろう。
・我が家はクリスマスだからといって、ケーキを買うことはあまりない。
・高級だからといって、自分の口に合うとは限らない。
・別に長女だからといって、自立心が強いわけではない。
・急がなくてもいいと言われたからといって、本当に急がなくてもいいわけではないらしい。彼女とのコミュニケーションは難しいなあ。
②~という理由で~(批判的意見)
・末っ子だからといって、甘くするのは良くないと思う。
・仕事でミスをしたからといって、その人の人格を否定するようなことを言うのはダメだろう。
・安いからといって買っても、あとで壊れたらお金の無駄だ。
・忙しいからといって、1ヶ月以上メールの返事をくれないのはちょっとおかしいと思う。
・便利だからといってITに頼ってばかりいたら、漢字が書けなくなりますよ。
・海外に行かないからといって、外国語を勉強しないのはもったいない。
・台風で仕事が休みだからといって、一日中ベッドの上にいるのは体に良くない。
・自分の好みではないからといって、相手の持ち物を見て、「そういうのは好きじゃない」と直接本人に言うのは最低だ。
・やり方がわからないからといって、誰かに聞くとか調べるとかもせず、そのまま私に仕事を任せてくるのは物凄く迷惑だ。
練習:
・( )からといって、( )に詳しいわけではない。
・課長という立場にいるからといって、( )とは限らない。
・面倒だからといって( )と、病気になりますよ。
接続:
[V普]+からといって [い形]+からといって [な形]だ+からといって [名詞]だ+からといって意味:
①ただ~という理由で~
②~という理由で~(批判的意見)