香港で3つの分割部屋(Subdivided Flat/劏房)に住んでみた!体験談まとめ

香港人(広東語話者)の日本語学習者に見受けられる特徴

こんにちは!香港で日本語教師をしているゆたか( @yutakanihongo )です。

今回は、こちらの記事で言及した、分割部屋(Subdivided Flat/劏房)についてお話します。

香港人(広東語話者)の日本語学習者に見受けられる特徴

分割部屋(この日本語は無いと思われるので私が勝手にそう呼んでおります)は、香港ではよく見かける部屋のタイプで、一つの広い空間に壁を造って複数に分割した部屋のことです。

部屋がいくつに分割されているかは物件によりけりなのですが、私は2部屋・3部屋・7部屋という、3つの物件に住んだことがあり、その時に発見したメリットデメリットを今回はご紹介したいと思います。

まずはメリットから!結論の後、それぞれについて解説していきます。

メリット

1.家賃が安い

2.水道光熱費・Wi-Fi料金

3.家具・家電付き

4.室内が新しくてきれい

5.掃除がラク

1.家賃が安い

なんといってもこれが一番の魅力かと思います。数千ドルで借りられるのは助かりますよね。

ただ、1平米でいくらかと換算すると、実は割高なこともあります。1LDKや2DKのような物件に2人で住んで家賃を折半した方が、一人当たりの家賃は安いことがあります。特に、分割部屋の物件が、尖沙咀や灣仔、旺角、北角…等々、相場が高いエリアにあったら、実は割高ということもありえますね。

とは言え、家賃が数千ドルなら安いことには変わりなく、メリットと言えます。

2.水道光熱費・Wi-Fi料金

分割部屋の物件には、水道光熱費やWi-Fi料金が家賃に含まれている物件があり、わざわざ個々に支払う必要がないので便利だし、全体的に安くなると思います。

私が住んだ7部屋の分割部屋がこのタイプで、毎月支払う金額は、家賃+水道光熱費・Wi-Fi料金(500ドル)でした。こう言うと、「家賃に含まれている」という言い方はちょっと違うかもしれませんが…内訳としてはそういう感じで、家賃+定額の500ドルを払っていました。

そして、1年後に過払い分として3000ドル強が返ってきたので、私の水道光熱費・Wi-Fi料金は、少なくとも1ヶ月で250ドル以内に収まっていたことになります。安いですよね?

3.家具・家電付き

香港には家具付きの物件が多いですが、家電も付いているのはありがたいですよね。特に、現地採用で自分で物件を探して住む場合、もし全て自分で購入したら、引っ越す時や日本へ完全帰国する時に、今まで使っていた家具・家電はどうしよう?となります。駐在だったら、次の方に使ってもらうこともできそうですが、個人的に契約している場合はそうもいきませんからね。

自分が好きな家具・家電を揃えて、引っ越しや帰国の時には処分するなり売るなりすることも可能ですが、そういう後処理が面倒だと思う方や初期費用を抑えたい方には、一式揃った分割部屋は適していると言えます。

4.室内が新しくてきれい

私が住んだ3部屋と7部屋に分割された部屋は改装工事をしたばかりという状態で、壁や床含め室内全体がとてもきれいでした。一方の部屋はホテルみたいだと思ったほどです。

住んでから3年目の分割部屋の写真です。引っ越しが決まったので、引っ越す前に撮影しました。
↑残念ながら入居直後ではなく、住んで3年目の写真なのですが、普通にきれいに見える内装ですよね?

やはり真新しい部屋に住めるというのは気分が上がりますし、魅力的な点だと思います。

5.掃除がラク

これは単純なことなのですが、分割部屋の広さはたいてい6~7畳程度のため、掃除する範囲が広くなく、掃除がラクというわけです。そのため、仕事や趣味などで忙しく、掃除する時間を短くしたいという方にも、分割部屋は適していると言えます。


次はデメリット!結論の後、それぞれについて解説していきます。

デメリット

1.大家さんの対応

2.騒音・臭い

3.安全面(部屋の鍵)

4.湿気問題

5.宅配便の受け取り

6.ゴキブリ問題

1.大家さんの対応

7部屋の分割部屋に住んだ時のことですが、大家さんの責任感や対応に疑問を持つことが多々ありました。その物件の大家さんは国外在住で、対面で行う用事がある際は、仲介者が行っていました。何かあった際は仲介者の都合で動くので、対応が遅くなります。

後から現地人に聞いた話なのですが、このようにたくさんの物件を貸している(借り主を多く抱えている)大家さんは、一つ一つの物件に対する気持ちが希薄で、とにかく家賃を回収すればいいとだけ思っている人が多いそうです。そのため、物件に問題が起きた時やご近所トラブルが起きた際など、解決への思慮や行動が浅くなりがちとの事です。

下記は実際に起こった出来事と、大家さんの対応です。

1.共用の通路に棚やケースなどが置かれ、1ヶ月間そのままだった   

 このため、共用のドアがしっかり開かない状態になっており、万が一火事が起きたらみんな逃げ遅れるかも…と思いました。それで写真を撮って大家さんに報告しましたが、結局、1ヶ月も同じ状態でした。そういった物を置いている住人に問題があるのは当然なのですが、大家さんも危機管理意識が低いと感じた出来事でした。

2.隣人の騒音問題に当人同士で対応させた

 当人同士で解決しようとすると誰がクレームを入れたか丸わかりですし、危ないと言われていますよね。でも、大家さんは隣人の奥様の電話番号を送ってきて、奥様に直接クレームを入れることを提案してきました…。唖然としました。

更に、「クレーム内容を紙に書いて、玄関ドアの下に置いたら良いと思う」とも言われました。どちらにせよ住人が直接やり取りすることになるので、賢明な判断ではないと思いました

3.電子キーの電池切れで閉め出し→住人に電池購入と交換を依頼

 共用部への入口のドアが電子キーだったのですが、仕事から帰ったら、パスワードを押しても反応しない!大家さんに連絡したら、大家さんは他の住人全員に「ドアを開けに行ってほしい」とメッセージしました(内側からなら電子ロック関係なく開けられるため)。

親切な住人が開けてくれて、私は部屋に入ることができたのですが、電池切れまで放っておくものかな?とちょっと疑問に思いました。電子キーを取り付けた時期を記録して、いつ頃には電池がなくなるから、なくなる前に電池を交換しておこうとか考えないのかな?と。

 更にこの話には続きがあり、私が無事部屋に入ったら、大家さんから一斉メッセージが。

「誰か新しい電池を買って交換してもらえませんか?レシートを送ってもらえたら、今月の家賃からその金額を差し引きます」

自分でやらないのか~い!と、スマホ画面に向かって突っ込んでしまいました(笑)。

対応が賢明で素早かったり、設備のチェックに抜かりの無い大家さんに慣れていたら、イライラしたり、不安になったりして、ストレスを感じるかと思います。

2.騒音・におい

分割部屋は壁が薄い上に、換気口等も全部繋がっています。なので、入ってくる音は普通の部屋より大きくなりますし、においも全体的に充満します。

どのくらいの音の大きさかと言うと、例えば、家族で住んでいる一軒家の中の隣の部屋からの音という感じで、咳払いや通話中の声、テレビの音などはっきり聞こえるレベルです。家族ならあまり気にならないかもしれませんが、赤の他人となるとストレスを受けやすいかと思います。

においですが、おいしそうな料理のにおいなら全然嫌ではありませんでした。私が一番きついと思ったのはタバコのにおいです。自分は非喫煙者ですが、実は、友人などが吸うのは構いません(食事の席などで相手が吸っても全然構わない)。ただ、自分一人しかいない部屋の中にタバコのにおいが漂ってくるという状況がどうにも耐え難かったのです。

これに関しては、完全に阻止するというのはできないので(全ての換気口や通気口を塞ぐなどということは不可能なので)、何か対策があるとすれば、「別のにおいで部屋を充満させる」でしょうか。私は結局試さずじまいなのですが、考えた一つの手は、アロマディフューザーで別のにおいを拡散させるというもの。

Amazon.co.jp : アロマディフューザー

『Amazon』で検索したら、香港に届けてもらえるものも結構ありました!

アロマディフューザー | 無印良品 (muji.com)

香港でも大人気の『MUJI』にもありますね。店頭でも購入できる可能性があります。

他にもいろいろなお店で見つかりそうです。ただ、再度申し上げますが、実際に試した経験はないので、このアロマの香りでどのくらいタバコ等のにおいに対抗できるのかはわかりません。もしいつか金銭的に余裕ができたら試してみたいと思っています。

3.安全面(部屋の鍵)

これは共用のドアではなく、個々人の部屋のドアの鍵のことですが、どの分割部屋も比較的簡単な鍵だなと思いました。中でも、3部屋の分割部屋の時は、かなりピッキングが簡単そうだったので、不安に感じました。その部屋は自分で選んで契約したわけではなく、勤務先が代わりに借りてくださった部屋なので、私はどうすることもできないという状態でした。

こちらの写真がその部屋の鍵です。

私が住んだ香港の分割部屋のドアの鍵

えっ…と、トイレの鍵?(汗)

私が不安に感じたのも、おわかりいただけたのではないかと思います。

自分で部屋を選べていたら、いくら割安でもこの部屋は絶対に選んでいません。見た瞬間、いくらなんでもこれはないでしょ!?と思いました。でも、こういった鍵の部屋で特に気になることもなく安全に生活されている方もいらっしゃいますので、個人の好みかもしれませんが。

4.湿気問題

分割部屋は、広い部屋を小さく分断しており、その一つ一つの部屋に空気がこもっていきます。1LDKのような物件と違い、空気の逃げ道・通り道が少ないので、湿気がたまりやすいというわけです。

仕事から帰って部屋のドアを開けると、いつも室内の空気の中にかなりの湿気を感じました。開ける時のドアもちょっと重く感じました。1LDKや2LDKの友人宅にお邪魔した際は、私が分割部屋へ入る時に感じるような独特の空気を感じませんでしたので、やはり湿気の量が違うのではないかと思うんです。

特に分けられた部屋数が多いほど、困ったことになるかと思われます。と言いますのも、7部屋の分割部屋に住んだ際、玄関近く(=窓から一番遠い場所)の天井でカビが発生し、みるみるうちに広がっていったからです。他の分割部屋では、湿気は感じながらも、天井にカビが発生する事態にまではなりませんでした。

分割部屋はその造りから、どうしても湿気がたまりやすく、湿度の高い香港で更に湿気が集まる空間になるので、住む際は入居直後からしっかり対策をするのをおすすめします。じゃないと、私のように、気付かぬうちにカビを発生させる状態にしてしまうかもしれません(汗)。

5.宅配便の受け取り

宅配便の受け取りはかなりやっかいになり得ます。なぜなら、マンションの郵便ポストは1つだけで、配達員はその部屋が複数に分割されていることを知らないからです。手紙や書類などポスト投函の物ならだいたい大丈夫ですが、受取人が直接受け取る荷物の場合は注意が必要です。

住所の記載方法について。分割部屋は、1つのFlatの中に複数の部屋が存在する形態ですから、 例えば、AというFlatに4部屋あり(Room A・B・C・D)、自分がRoom Bに住んでいた場合、住所は「Room B, Flat A, 階数, 建物名…」となります。しかし、Room A・B・C・Dの存在は公にされていないことがほとんどで、マンションのポストも、『Flat A』しか無いと思います。そのため、配達先住所として「Room B, Flat A…」と記載すると、宛先不明になります。

解決策は「Room B」を書かないことですが、そうすると、Room A・B・C・D全員宛のようになってしまうんですよね。郵便局からであれば、受取人(=自分)の名前が記載された不在票が入るので、それを持って郵便局へ行けば大丈夫です。では、他の配送業者の場合はどうでしょう?私は、仕事中に”配達失敗”というSMSを受信し、かなり慌てた経験があります…。

香港は日本のように時間指定ができませんし(日にちはできる場合がある)、自分の経験では土日は配達不可との事でした。フルタイムで仕事をしていたら、休暇を取らない限り、平日の何時に来ても大丈夫という状態は作れないですよね…。結局、私は、配達先住所を職場の住所に変更することで、なんとか荷物を受け取ることができました。

尚、置き配にしたら隣人に盗まれたという話も聞いたことがあります。届いたときに自分が部屋にいなかったり、爆睡中とかだったりしたら、どの部屋の人が盗んだかわかりようがないですが、”配達完了”のSMSやメールを受け取っていながら、部屋の前に荷物が無ければ、盗まれたとしか考えられないわけなんですよね。こういう点からもやっかいで、デメリットと言えます。

6.ゴキブリ問題

香港はどんなに良い物件でもゴキブリに遭遇することはあるものです。しかし、私の分割部屋での経験は凄かった…。7部屋の分割部屋の際、すさまじい頻度でゴキブリが現れたのです。。朝起きたらゴキブリ、仕事から帰ったらゴキブリ、夜中に目が覚めたらゴキブリ…これを地獄と言わず何と言うでしょうか(涙)。しかも、冬、香港中が寒波に驚いていた期間ももれなく現れるという無敵さ。

この件、部屋の問題点から、実際に行った対策まで、いろいろ書いていたらかなり長くなってしまったので、下記の別記事でお話しております!よかったら、読んでみてください。

香港人(広東語話者)の日本語学習者に見受けられる特徴

まとめ:分割部屋(Subdivided Flat/劏房)のメリット・デメリット

この記事では、香港の分割部屋(Subdivided Flat/劏房)のメリット・デメリットについてお話しました。

再度まとめると、以下のとおりになります。

メリット

1.家賃が安い

2.水道光熱費・Wi-Fi料金

3.家具・家電付き

4.室内が新しくてきれい

5.掃除がラク

デメリット

1.大家さんの対応

2.騒音・臭い

3.安全面(部屋の鍵)

4.湿気問題

5.宅配便の受け取り

6.ゴキブリ問題

結局は、何を優先するか、ということになるかと思います。自分にとって何が大事か、何が妥協できないか、しっかり自分の心に聞いてみてくださいね。

この記事が少しでも皆さまのお役に立てたら嬉しく思います。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

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ゆたか
香港在住の日本語教師『ゆたか』です。日本語教師の皆さまや日本語学習者の皆さまの助けになれたらと思い、このサイトを作り始めました。特に、実用的で面白い例文作りに力を入れています。香港生活に関することについても、経験談とともに書いています。