A に足る。
「Aする価値が十分にある」「Aできる」という意味で、Aするために必要な条件を満たしていると評価するときに使われる。
※「 A に足る[名詞]」の形で、[名詞]を修飾する用法も多用される。
★よく使われる名詞
「信頼(する)」「信用(する)」「知る」「実用」「尊敬(する)」「満足」「解雇(する)」「採用(する)」「賞賛」など
否定文として使う際は、「~に足る~ない/ではない」のように文末を否定形にする。
「~に足りない/足らない」のように動詞自体の形を変える場合は慣用表現が多い。
★慣用表現
・「取るに足らない/足りない」…話題に出す価値はない。無価値だ。ささいなものだ。
・「恐れるに足りない(口語)/恐るるに足らず(文語)」…恐れるほどではない。怖がる必要はない。実際はそれほど大したことではない。
★「~に足る/足らない」
→動詞1グループ。「足る」は江戸時代まで使われていた古い言葉。文語的で、使用頻度
は低い。「足る」のない形「足らない」は現代でも使われる。
★「~に足りる/足りない」
→動詞2グループ。江戸時代から使われるようになった現代の言葉。
例文:
・この情報は信用に足るものかどうか、しっかり精査しなければならない。
・彼は潜在的な能力は高いと思うのだが、まだ部下から尊敬されるに足る成果を上げていないため、現時点ではリーダー職は任せられない。
・A氏には確かにアリバイはないが、犯人として疑うに足る理由がないのが現状だ。
・彼女は非常に信頼するに足る人物で、長い間私の秘書を務めてもらっている。
・この製品は悪くはないが、実用に足るものとは言えないだろう。
・弟が突然会社を解雇されたのだが、話を聞いたところ解雇に足る理由はなく、こんな理不尽なことがあっていいのかと憤慨した。
・今の職場での雑談は取るに足らないものが多く、時間の無駄だと感じることが度々ある。
・個々の能力を最大級に上げ結集した我がチームだ。7年も前の準優勝校など恐れるに足りない。
練習:
・残念ながら、彼には採用するに足る( )がない。
・( )は賞賛に足る結果である。
接続:
[V辞]+に足る [名詞]+に足る意味:
~する価値が十分にある